コーヒーをめぐる冒険(原題: Oh Boy)

都市に暮らしそれぞれに問題を抱えた人たちとのやりとりを通して、自分の問題と向き合っていく青年の1日。苦いコーヒーは現実と折り合うことのメタファーっぽいけれど、そこに悲壮感がまったくないのが素敵。そしてモノクロのベルリンの街の情景が美しすぎて感服。

5つ数えれば君の夢

思考がピリピリしてきた。思春期の女の子の魅力と醜悪のアンサンブルは、衝撃的な処女作「あの娘が海辺で踊ってる」の流れを汲んでいながら、主人公に5人を据えた複層的な物語になって味わいが格段に増している。妄想にリアリティが少し同居し始めている点にも、弱冠23歳の山戸監督の今後の商業的成功に期待してしまう。

凡庸な人物として描かれた青年/少年がなぜか魅力的に見えるのも彼女の作品の面白いところ。女の子が男の子を好きになる感覚ってこんな感じなんだろうか。昨年観る機会を逸して悔しい思いをした前作「おとぎ話みたい」が完全版として今年公開予定とのことで、こちらも待ち遠しい!

The Gambler's Fallacy@渋谷WWW

The Gambler's Fallacy@渋谷WWW

upし忘れていた過去の鑑賞記録。
素材を列挙するとダンスとラップとDJと朗読とサックスとパーカッションと骨伝導と蛍光灯なんだけど、なんて説明したらいいのかさっぱりわからんかった。何がしたいのかも正直理解し難かった(前提知識が少なかったせいだろうね)けど、協働することのおもしろさは確実に伝わる。他では味わうことのできない体験。

http://www-shibuya.jp/schedule/1305/003710.html

映画鑑賞リスト2013

2013年にスクリーンで観た映画作品リスト

レ・ミゼラブル
LOOPER
ゲキxシネ 髑髏城の七人
劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編]始まりの物語
劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [後編]永遠の物語
ももいろそらを
人生、ブラボー!
ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日
さよならドビュッシー
塀の中のジュリアス・シーザー
フラッシュバックメモリー
サウンド・オブ・ノイズ
サイレンス
Fear X
真実の恋
氷の国のノイ
ライブテープ
BETWEEN YESTERDAY & TOMORROW
グスコーブドリの伝記
あさっての森
あの子が海辺で踊ってる
アシュラ
フライト
世界にひとつのプレイブック
その後のふたり
ゼロ・ダーク・サーティ
ある子供
やさしくキスをして
アダプテーション
横道世之介
千年の愉楽
プラチナデータ
シュガーラッシュ
ある朝スウプは
愛、アムール
らくごえいが
君と歩く世界
CLOSER TO THE EDGE マン島TTライダー
リンカーン
ストム・ソゴー 甘美から発作へ
変態仮面
中国実験映画事情2013
THE WE AND THE I
リヴァイアサン
THE CHILD
天使のわけまえ
ヘッドハンター
ハッシュパピー バスタブ島の少女
4ヶ月、3週と2日
あるいは裏切りという名の犬
白いリボン
きっと、うまくいく
華麗なるギャツビー
言の葉の庭
箱庭息子の恋
プレイス・ビヨンド・サ・パインズ/宿命
俺俺
モンゴル野球青春記 バクシャー
二流小説家 シリアリスト
さよなら渓谷
コンプライアンス 服従の心理
ソルダーテ・ジャネット
震動
春夢
ヨッシ
チャイカ
フロントライン・ミッション
狼が羊に恋をするとき
ママったらアルゼンチン
隠されていた写真
セブン・ボックス
ロシアンディスコ
立候補
セデック・バレ 第一部 太陽旗
セデック・バレ 第二部 彩虹橋
風立ちぬ
ペーパーボーイ 真夏の引力
HOMESICK
マジック・マイク
江の島プリズム
ザ・タワー 超高層ビル大火災
少年H
ホワイトハウス・ダウン
パシフィック・リム
ワールド・ウォーZ
日本の悲劇
恋の渦
ハーメルン
鷹の爪GO -美しき消臭エリエールプラス-
アップサイド・ダウン 重力の恋人
夏の終り
ゼンタイ
わたしはロランス
ウォーム・ボディーズ
サイド・エフェクト
あの頃、君を追いかけた
ティファニーで朝食を
凶悪
クロニクル
地獄でなぜ悪い
椿姫ができるまで
スタンリーのお弁当箱
ゲキxシネ シレンとラギ
エンプティ・アワーズ
男子高校生の日常
ドコニモイケナイ
Nobody's Home 空っぽの家
ホーリー・モーターズ
トランス
劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語
ジャンゴ 繋がれざる者
そして父になる
もうひとりの息子
セイフヘイブン
危険なプロット
グランドイリュージョン
清州会議
自分の事ばかりで情けなくなるよ
いとしきエブリデイ
ヴァン・ゴッホ
悪魔の陽の下に
トランジット
私の名前は・・・
マイ・マザー
ゼロ・グラビティ
利休にたずねよ
ブリングリング
PERSONA3 THE MOVIE -#1 Spring of Birth-
麦子さんと

総数:130
主製作国別作品数(上位5か国)
日本:49 米国:30 フランス:9 英国:5 台湾:4 カナダ:4

★: 各ジャンルのオールタイムベストにランクイン
◎: 今年のベスト作品の上位にランクイン
○: 今年のベスト作品にランクインまたは次点

風立ちぬ 感想走り書き

年間に100本も映画を観てると、1本1本に対する評価は割とスパッと決めて片っ端から忘れていくことになるのだが、どう評価してよいかなかなか結論が出ない作品というのがある。
風立ちぬ」はそういう作品のひとつだった。

だから完全にタイミングを逸した、しかも走り書きのようなこんなポストをすること、ご容赦いただきたい(笑)


少年少女の夢や成長を描いていくつもの傑作を生み出してきた宮崎監督のこと。主人公が仕事と家庭を持った成人男性に変わっても、彼の夢やロマンをキレイに描いてみせた。

けれど主人公は、ドイツ留学の経験から太平洋戦争が負け戦だとわかっていて、戦闘機が殺戮の道具でしかないと知っていながら、夢のためにそれを利用した。それをこんなふうにキレイに描くなんてタチが悪いという思いは、鑑賞後もずっと抜けなかった。


僕が予告編だけで泣かされた「風立ちぬ」は、宮崎作品では初めて実在の人物を描き、そのため時代設定やら外国事情やらも明確な史実に基づいている。主人公が成人男性というのも異色だ。

紅の豚」も成人男性のロマンと恋愛を描いた作品ではあるけど、なんやかんやしてラストには豚の姿という呪いが解かれた(と推測される)ことが、問題は全部解決しました、めでたしめでたし。という極めて寓話的な話。それに対し、「風立ちぬ」はbased on a true storyであり、物語のテーマをアニメの世界から現実に置き換えて捉えられることから逃げることはできない。
どんなに叙情的に描いても。

本作は、日本禁煙学会の要望書も話題になった喫煙シーンの多さが特徴だし、上記の、人命を利用して夢を追い求めるという罪悪感みたいなものがテーマのひとつだった。

紅の豚」の醜さはあくまでもファンタジーだけど、「風立ちぬ」のこの醜さはファンタジーになり得ない。
その醜さに心を掻きむしられながら、恋愛や夢の追求の物語に思いを馳せる。まるで僕らが現実社会で日々感じるような矛盾、本音と建前、表と裏を同時に見せつけられるような、そういう気持ち悪さがあって。

どこぞのインディーズ制作会社がそういうやや哲学的な問題を投げかけるような、ガツンとくる作品を出すならわかるのだけど、それをやってのけたのがかのスタジオジブリ、というのがただただ驚きだった。



話は完全に変わるが、雑感。
主人公は、病気の奥さんがいるのにもかかわらず家庭を顧みずに仕事に没頭した。キスシーンくらいはあったかもしれないけど、奥さんへの愛情表現は、現在の常識からすると相当に蛋白だ。
これを、家庭至上主義、特に仕事より家庭が大事だと信じて疑わない田舎のヤンキーたちが、どう思うか、非常に気になるところだ。

ビッグデータの衝撃

ビッグデータの衝撃――巨大なデータが戦略を決める

ビッグデータの衝撃――巨大なデータが戦略を決める

ビッグデータ」。今年に入ってから頻繁に聞くようになった旬のワードであり、そうでなくとも日常的にメディアに触れていれば「ビッグデータ」を活用したコンテンツに触れないことはまず考えられないだろう。例えば僕が従事している人材業界との関連で考えると、今やビッグデータを扱うことのできるスキルを持つ人は引く手あまただ。ほんとうに人が足りてない。それほど急に注目を集めている分野なのだ。

本書は、Amazon.co.jpでは、ビッグデータに関する現時点で最高の入門書という評価に落ち着いているようだ。特筆すべきなのは、紹介される先行事例が非常に具体的にポイントを押さえていてわかりやすいこと。海外ではZynga、eBayという有名企業の取り組みのほか、「え?こんなことやってる企業があるの?」と、まさに目からうろこが落ちるようなマーケティングへの活用事例が詳しく載っている。国内企業ではコマツリクルート、グリーなどがピックアップされている。
「ハドゥープ」というデータ分散処理技術がビッグデータ活用の肝らしいが、この本を読むまで素人の僕にはさっぱりそれのなんたるかが理解できなくて、そのあたりもちゃんと背景とか企業のアプローチとか含めた解説があるので理解の助けになった。
あと、ビッグデータ活用において必ず課題となるのがプライバシーだけど、これについても本書の守備範囲。海外のプライバシー法令の整備状況、適用範囲の微妙な差異などが詳しく書かれているので、ビッグデータ活用を担当する企業担当者はぜひとも手元に置いておきたい一冊。
個人的には、ビッグデータを扱う「データサイエンティスト」に非常に興味がわいた。ってかデータ分析やりたい。楽しそう。これって今からでも勉強すれば身につけられるんだろうか。なんだかとっても広大なフロンティアを前にしてわくわくしてくる、そんな読後感だ。

映画鑑賞リスト2012

2012年にスクリーンで観た映画作品リスト

総数:74(リバイバル上映作品を含む)